リノベーションを行っている現場を見て、外回りの注意点を例をあげてみます、またその修繕内容の途中写真を見ていただきます。ここ蓼科の建物内は意外と傷みはありませんが、外回りは長期の間使っていないことや、掃除などのメンテナンスがなかったことからバルコニー等の外部構造体は予想以上の腐朽と傷みでした。

22年7月1日玄関先ビフォー-thumb-550x412-1546

暫らく利用していない別荘でしたので、玄関への下りのアプローチ階段は崩れ階段が見当たらない状況で、崩れた土は玄関ポーチの一部にまで堆積しています。この場合、状況と建物デザインから腐朽や傷みがひどいと考えられるのは、①玄関ポーチの敷き板とそれを受けている根太大引き、②壁状にデザインされた手摺りの足回り、③玄関ポーチ屋根を支えている柱、④ポーチデザインの腰壁足回り、特に玄関のたたき下から伸びている大引きが傷んでいると、構造上からも修繕上で重要ポイントとなります、デザインの腰壁や手すりは、足回りが傷んでいれば全体は使えなく取り払うことになります。腰壁は板で全てを覆い壁状にして笠木が鋼板のため水分が抜けにくく腐りが考えられます。

22年7月1日玄関周り途中-thumb-550x412-1548

修繕のため部材を外していくと、想定していた通りですが、①ポーチ床がらみ全体の取り換え、②ポーチを囲む腰壁の取り換え、③アプローチ灯もついている手摺り壁の取り換え、以上は想定内ですが、玄関たたきを受けている大引き根太は想像以上に腐朽していて、構造上からもしっかり修繕を行わなければなりません。

22年7月1日ポーチ下途中-thumb-550x412-1550

腐朽が進んでいた大引きの状態です、見えているコンクリートの土台は大引きを受けるもので、不等沈下による不陸もあり今回は旧土台に抱き合わせる形で新造します。一見なんでもないように見える箇所でも覆い等を外すと思いもよらない現象が起きています、この例ではたたき下の断熱材のグラスウールが水分を含み腐朽を早めた上に傷みの広がりもでたと考えます。

22年7月7日蓼科4-1-2玄関先修繕途中-thumb-550x412-1563

玄関周りの修繕途中の様子です、以前は建物に似せた壁状の手すりを木組み格子状にして、腐朽の軽減を図ります。床の張り板は何を使うか、ポイントは歩く頻度が高い、雪が溜りやすい、その雪が踏まれ氷になる、すると金属製のシャベルなどで取り除くことになる、以上のことを考えると材料費は高いが天然木で腐り難い〝ウリン〟を使ってみようとの考えにいたりました。

22年7月1日テラス下ビフォー-thumb-550x412-1552

使わなくなるといたるところの腐朽の進行が速いもので、バルコニーの傷みは表面だけではなく床を受ける骨組みの構造まで傷みが進行しています、例(写真)はトラス状に組んだ構造体の一部が落ちたものです。木組みのほぞなどに水分が溜り腐朽を早めるようです。

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今回の修繕では材料にはもちろん防腐処理をしてあります、縦の力を受ける束石の増加はしませんでしたが、強度を上げることとバルコニーの高さがあるため揺れることへの配慮から、部分的に以前よりサイズを上げて骨組みを構築しています。(下の写真でご確認下さい。)

22年7月7日蓼科4-1-2バルコニー床張り-thumb-550x412-1567

以前は建物と同じ壁状の手摺りでしたが、今回は大きな格子に組み格子の中にラチス状の部材を入れます。床板は玄関先と同じ〝ウリン〟を張りますが、落ち葉や雪を簡単に掃き落とせるようにバルコニーの手摺り根太の外面まで伸ばすことにします。一般的にウリンをバルコニーに張るのは過剰のように思えますが、今回は雪が3カ月間ほど積もるエリアなのでテストも兼ねて実行することにしました。

22年7月1日止水栓断線-thumb-550x412-1556

外回りをチェックして驚いたのは動物のいたずらです。この中に水道の止水栓が入っていて、手動又は電磁弁で開閉をしますので、電磁弁用のコードが露出で配線されていましたが断線しています、バルブを閉めて水を抜くと厳冬期でも水道管が破裂することはないので、電気はブレーカーを落としますから通電はしていません、動物が遊び半分で線をかじったようで断線してしまいました。都市部では考えられないことですが、豊かな自然の中に建つ別荘では、このような点にも配慮しなければならいのをあらためておしえられました。

オーガニックリゾートでは資源の無駄遣いをなくす点からリノベーションを推奨しています、スクラップアンドビルトから、少しの資源を活用し更に長く使うことを皆さんと考えていきます。