よく話題になる農業や自給自足について、特別なものと思いがちですが、規模や形は違いますが皆さん楽しんで(リゾートして)おります。その現状と展望をまとめてみます。

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市民農園は昔から行われていたのだが、最近は形を変えて話題になっている。野菜の残留農薬などという言葉は30年前に話題になっていただろうか。今は食の安全についての意識が高まり、問題として取り上げられ、それならば自分の見える中で安全な野菜を作る動きになってきて、市民農園を借りる方が多くなっている。また、健康維持や増進または予防医学の点から、自然の中で時間を過ごすアウトドアリクレーションのムーブメントがおきていて、その一つに二地域居住のニーズの高まりがあり、今はリタイヤ層のライフスタイとして大勢が実践している。市民農園の概念ではなく自宅から離れた場所で、自然を楽しみながらある程度の日数を過ごし、自宅に戻るというライフスタイルで、この中で野菜作りが行われている。

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市民農園概念
市民農園の一般的な概念は、自宅から農園まで車で30分程度まで、広さは30㎡程で年間使用料は10,000円~30,000円、使用期間は1年で更新可能などだろう。また、リゾート地での滞在中に野菜作りを楽しむ貸し農園が別荘近傍にあるが、自宅近郊が数は多い。最近はビルの屋上や高級住宅地の一角に高額な利用料の市民農園も出てきたが、ここでいう市民農園とは一線を画す、一般的にいう市民農園は大地に接し畑の延長にあるものと考える。

一般的な市民農園概要

土地所有者 個人(農家)、法人
運営者 所有者、土地を借りて運営を行う会社もある
立地 都市部の農地、郊外の農地、別荘周辺農地
面積 15㎡~50㎡
賃料(年額) 10,000円~30,000円
期間 1年(更新可能)

都市近郊の市民農園は、公営や民間のものも利用率が高く、20代30代の若い方もいるようだ。市民農園普及国のドイツでは市民農園を「クラインガルテン」と言い、ある種公園化している面もある。

クラインガルテンの概念

クラインガルテンは都市の中にあり、公園の位置づけで中に公共の場もあり、そこは一般市民に開放されている。土地は行政機関が所有していて、借り手は25年とか長期契約をしている、借りる面積は300㎡で借りた土地を菜園などに利用するが、中に30㎡未満のラウベ(小屋)を建てることができる、建てるには電気ガスは引き込めない、ラウベに宿泊をしてはいけないなどの制約がある。日本との違いは長期契約、広い面積、自分所有のラウベを建てられる、樹木(果樹)も植えられる(長期契約が可能とする)、安価な利用料金などだ。日本にもクラインガルテンがあるので概要の比較を以下にまとめる。

一般的な市民農園概要

日本 ドイツ
土地所有者 個人、行政機関(個人からの借上げもある) 行政機関
運営主体 行政機関 協会(クラインガルテン協会)
土地面積 300㎡ 300㎡
ラウベ面積 40㎡前後、宿泊ができる 30㎡未満、宿泊は認められない
利用期間 1年更新で最長5年まで 25年や無期限
利用料金(年額) 350,000円~400,000円 30,000円
利用制限 無農薬、花、野菜などで樹木は不可 無農薬、花、野菜、果樹、生ごみ・排水などはコンポスト等により循環を積極的に行う
倶楽部ハウス 設置済み、行政機関が運営 共同で建設し運営を行う
供用部の管理 行政機関及び借主(年2・3日の共同作業) すべて自主管理(共同作業がある)
応募資格 特に設けていない 同じ市の居住者、集合住宅の2階以上に住んでいること
譲渡 不可 可能(ラウベや畑の内容果樹など)協会が査定する
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笠間クラインガルテン概要

運営主体 笠間市
規模 50区画
土地面積 300㎡(内畑地面積は100㎡、他に庭部分がある)
ラウベ面積 約37㎡(土地に付属している平屋の建物で宿泊が可能)
年間利用料金 400,000円(水道光熱費は別途借主負担)
利用期間 1年更新で最長5年まで借りられる
利用の制限 有機・無農薬栽培、果樹は植えられない、退去時は畑の作物ゴミは撤去
利用者の属性(居住地) 東京42%、千葉30%、神奈川14%、埼玉10%(1都3県96%)
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一度借りると大体の方が最長の5年間を借り、そして空き募集に数倍の応募があるとのこと、その人気は何かと考察すると以下のようなことが考えられる。

・都心から高速道路を利用すると1時間半~2時間で行ける立地で、豊かな自然環境の中にある。

・市民農園には付いていないラウベがあり、休憩や宿泊ができ別荘代わりにも利用できる。

・100㎡超の畑は、滞在型作業で程良い広さで多種類の作付けができる。

・周辺にリゾート地同様に温泉やゴルフコースが点在して、リゾート気分を味わえる。

利用者の中には、年間の半分以上をここで過ごす方もいて、地域の方との交流やゴルフを楽しんでいる。ここでは農を主としたある種のリゾート(非日常)を楽しむことができる、利用者は晴耕雨読の「ゆとり」で時間を送れ、同じ価値観の隣人と作物の出来具合を肴に酒を酌み交わすなどで、都会では得ることのできない深層にある欲求を実践できることだと思われる。特筆は、5年を経過した後に近隣に土地を求め家を建て、定住する方がいることである、体験から新ライフスタイルへ移行していくようである。

クラインガルテン例(所在地、敷地やラウベ面積など)

粟沢クラインガルテン北海道空知郡粟沢町27約21㎡24万円粟沢クラインガルテン北海道空知郡粟沢町27約21㎡24万円粟沢クラインガルテン北海道空知郡粟沢町27約21㎡24万円粟沢クラインガルテン北海道空知郡粟沢町27約21㎡24万円粟沢クラインガルテン北海道空知郡粟沢町27約21㎡24万円粟沢クラインガルテン北海道空知郡粟沢町27約21㎡24万円粟沢クラインガルテン北海道空知郡粟沢町27約21㎡24万円

名称 所在地 区画数 ラウベ面積 年間利用料金
粟沢クラインガルテン 北海道空知郡粟沢町 27 約21㎡ 24万円
不動尊クラインガルテン 宮城県伊具郡丸森町 18 約43㎡ 36万円
クラインガルテン八千代 茨城県結城郡八千代町 20 約29㎡ 40万円
緑ヶ丘クラインガルテン 長野県松本市中川 78 約30㎡ 36〜39万円
坊主山クラインガルテン 長野県松本市取手 52 約27㎡ 25万円
クラインガルテン曽爾 奈良県宇陀群曽爾村 30 約43㎡ 50万円
志都の里クラインガルテンン 島根県飯石郡飯南町 30 約52㎡ 38万円

今後の展望

高齢者社会や食の安全の追求、低成長社会の余暇時間の過ごし方、アウトドアレクレーションの多様化などから、現行の市民農園や日本版クラインガルテンは、時代の変化の需要に合わせ内容を変えながら増加するのではないかと推測する。

別荘やリゾートマンションの中古物件の流通が毎年一定数あることからも、二地域居住のライフスタイルはまだ増えていくと考える、そして益々多くなる元気な高齢者や、若年層の自然回帰志向などもあり、農的ライフスタイルが一つのトレンドになるのではないか。日本版クラインガルテンも既に二地域居住の対象になっているので、進化しながら普及するものと考えられる。

市民農園を専門に運営する会社やNPO法人があり、安全な食材を得たり、子供の教育の場として身近に利用することができるようになってきた、また適度な農作業が健康増進に結びつくなどが提唱されることや、公園化されれば更に農的ライフスタイルが定着し、新しいリゾート「アグリリゾート」というものができるのではないか、そのように感じられる時である。

オーガニックリゾートでは、農的ライフスタイルの提案をしてまいります。